第7回 メディアが煽る人気「政権」の実状とは 7.20.FRI キリンカップの帰りの機内で『ニュース7』(NHK総合)が流された。札幌ドームのパラグアイ戦で柳沢がゴールを決める前後と代表スタッフのトルシエ、ダバディ、サミア3氏の大喜びするシーンが見事に切り取られていた。 正直なところ、何の感慨も湧かない。たまたま山本コーチが同一フレームに入らなかったこともあり、不思議な感覚にとらわれた。これは、いったいどこの国の代表チームなのか…。 外部注入策が功を奏してきたことは誰もが知っている。しかし若い日本人選手にも自我や自尊心がある。職人的なこだわりの回路を通り抜けようとすることで、彼らは普遍的な世界ヘ近づこうとしている。変な言い回しだが、「顔ができてきたな」と思う。「顔のない日本人」という言い方も、もはや代表イレブンには当てはまらない。選手の競争意識を刺激すると同時に権力支配をより強固なものにする「飴と鞭」手法に効き目があるのも、もはやここまでではないかと思う。 コンフェデレーションズカップに準優勝した際もぼくは無感動だった。フジテレビの夜の特番と『ニュースステーション』に生出演した際のフィリップ・トルシエを観ながら、ずいぶん洗練されてきたなと感じながら、心に引っかかるものがあった。目がまるで笑っていないのだ。野心や欲望が強まる一方で、どうしても自己を超えられない国際社会の憎まれっ子、それはいまだに日本人が頂戴するあまり有り難くない評判である。だが、まさにそれと同じ例を見る思いがした。 ひどい内容の記者会見を春以降いくつか目撃したし、金銭感覚に関する悪い噂もしばしば耳にする。じっさい、申し込んだ雑誌インタビューに30〜40万円の謝礼が必要と聞かされ、担当編集者とともどもあきれ果てたことがある。近頃は一部週刊誌にセクハラ疑惑まで報道された。 「ガイジン天国」という古臭い言葉を彷彿させる抑圧的な光景の数々がオンエアされれば、スタジアムでの紹介時に沸き起こる分不相応な喝采も少しは減るかなと考えられる。ところが、異議申し立て即メンバー外しに繋がる可能性があるために選手も実状をメディア&サポーターに届かせづらい。欧州スタイルを隠れ蓑に、監督本人がフィジカルコーチも独占しているから、しなくてもいい負傷を負った選手がいる。クールダウン禁止の「軍事教練」がもはや恒常化しているのだ。 「どんなにエキセントリックな人物でも、腕の立つ大工なら使わぬ理由はない」「1年を切ってしまった今はもう変えようがない」「(高温多湿等有利なホームであっても、)勝ってしまった以上は仕方がない」「そもそも、相応しい後任を探せるのか?」「大事な国家的大イヴェントなのに誰がこの程度の人格の人間を連れてきたのかとなった際の連帯責任を負うのが怖いんじゃないか」といった諦め混じりの論法が大手をふるう。 そんな複雑な事情があるゆえに、ぶら下がりと共依存で特徴的なこの「政権」は来年6月まで持続しそうな気配だ。元擁護派のこのぼくもまた外国人排斥者と誤解されるのが嫌で手をこまねいている者の一人だと告白しておこう。 実状にあきれ果てている多くの選手、関係者が面従腹背を余儀なくされる中で、今後も「顔のないフランス人」による植民地主義的なやりたい放題が続くだろう。トルシエは奇妙かつ絶妙なパワーバランスの上に乗っかっているのだ。 小泉&田中真紀子人気を煽るのがテレビ・メディアなら、分不相応なトルシエ人気を煽るのもまたテレビということになる。代表チームの勝利に対してまったく無感動な心理状態が続くのは、サッカー観戦歴37年目にして初めてのことである。人質に取られた多くの代表選手が「救出」を待っているのではないか。日本代表チームが唄をうたえぬただのカラオケマシンのように見えてしまうのは、「人間の顔をした野蛮」に率いられているからである。
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