| COLUMN●コラム | ||||
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第110回 アビスパの「規約違反」に断固たる制裁を ■リーグ戦とナビスコカップではまったく違うメンバーが 4月12日に行われたJリーグヤマザキナビスコカップの1回戦第1戦で、アビスパ福岡が完全な「リザーブチーム」を湘南ベルマーレとのアウェーゲームにぶつけるという「事件」が起きました。 今季のアビスパは重大な負傷者もなく、先週土曜日の第7節までほぼ固定されたメンバーで戦ってきました。GK小島伸幸、DF河口真一、小島光顕、藤崎、三浦、MF石丸、野田、バデア、中払、FWモントージャ、山下。このほかで交代などでコンスタントに試合に出ているのはMF久永とFW江口、そして新人のDF平島の3人、さらに、ずっとサブにはいっているのがGK塚本、MF篠田の2人。すなわち、試合に行く16人がしっかりと決まっています。
ところが、第6節と第7節の間に行われたこのナビスコ杯のベルマーレ戦の先発は、GK塚本、DF水筑、橋口、三好、平島、MF篠田、牛鼻、鈴木、久永、FW江口、松永。ベンチにはいったのはGK田草川、MF新田、小森田、FW深川、FW柿本で、新田と柿本が交代で出場しています。このうち、今季の7試合のリーグ戦で1試合でも先発で出場したのは、DF平島(2試合)、MF久永(2試合)、そしてFW江口(1試合)の3人、先発はないが交代出場がある選手がMF篠田、出場はないがベンチ入りがあるのがGK塚本、DF三好、MF牛鼻、FW松永。GK田草川、DF水筑、橋口、MF新田、鈴木、小森田、FW深川の7人は、ベンチ入りもありません(アビスパの選手たちの名誉を傷つけることを目的にこのようなデータをあげているわけではありません。議論に正確を期するためのものです)。 ■最強メンバーで試合に臨む義務がある 4月12日、このようなメンバーで臨んだ湘南ベルマーレ戦は、3−2の勝利でした。 前半4分に190センチの長身FW松永が先制ゴールを決め、いったんは追いつかれたものの、スピードあふれるMF牛鼻が2点目を決め、さらに神戸から移籍してきた大型FW江口が3点目を決めました。そして後半のベルマーレの反撃を1点に押さえたのです。 しかし試合結果は問題ではありません。Jリーグにとっての問題は、アビスパが重大な規約違反をしているということです。 「Jリーグ規約」によれば、「Jクラブは、その時点における最強のチーム(ベストメンバー)をもって前条の試合に臨まなければならない」(第42条〔最強のチームによる試合参加〕)と、 公式試合(J1、J2、リーグカップ、スーパーカップなど)でのチーム編成の義務づけを行っています。 最初にあげたデータで明らかなように、4月12日のアビスパは、完全な「リザーブチーム」でした。その前後の試合を含めたリーグ戦のレギュラーの11人がそっくり欠けているのを、「これが現時点でのベストチーム」と強弁することはできません。アビスパが規約違反を犯していることは明白な事実なのです。 ■Jリーグの規約を守ることの4つの意味 ではなぜこのような規約が存在するのでしょうか。 第1に、公平さを保証するためです。たとえば、リーグ戦の終盤に優勝争いをしている1チームの試合相手が、「もう順位争いに関係ない」と、完全リザーブのチームを出したら、優勝争いのライバルチームにとっては大きな打撃となります。下位争いでも同じことです。 第2に、ホームであろうとアウェーであろうと、観客にできる限り最高の試合を見せるのが、プロの責務であるということです。観客は、プロとしてのサッカーの試合に入場料を払い、プロのサッカーはその入場料で成り立っているのです。最大限の努力をするのは当然のことです。 第3に、アウェーでこのような違反をすれば、それは相手チームに金銭的な損害を与えるということです。この日の平塚競技場の入場者はわずか2261人でした。 そして第4に、来年からスタートするサッカーくじを考えれば、クラブが勝手に試合の重要性を判断してリザーブチームを出すようなことがあったら、大きなスキャンダルになります。 以上のような、それぞれ重要な理由から、この規約第42条があると私は考えています。であれば、Jリーグは、今回のアビスパの規約違反に対して、断固たる処置をとってほしいと思います。 Jリーグ規約第161条に、第42条に違反した場合、「1500万円以下の制裁金を科す」と規定されています。4月12日の規約違反に対する制裁金はいくらが適切かを判断するとともに、その一部は湘南ベルマーレに補償金として支払われるべきだと思います。 ■しかしアビスパは3週間で7試合の過密日程 さてここで、見方を180度変えてみましょう。アビスパ福岡とネストール・オマール・ピッコリ監督の立場に立ってこの問題を見てみます。
問題は、4月にはいってからの過密日程です。4月1日(土)、名古屋に遠征してグランパス戦。5日(水)、博多でヴェルディ川崎戦、8日(土)、磐田に遠征してジュビロ戦。12日(水)、平塚に遠征してナビスコ杯の湘南ベルマーレ戦。15日(土)博多で柏レイソル戦。19日(水)、博多でナビスコ杯の湘南ベルマーレ戦。そして22日(土)、大阪に遠征してガンバ戦。なんと、3週間で7試合もこなさなければならないのです。遠征だけで博多から名古屋往復、磐田往復、平塚往復、大阪往復の4回。単純にJRの営業キロ数で計算しても、6942.6キロ、約7000キロもの移動になるのです。せっかくいいスタートを切ったJリーグ。ナビスコ杯も重要ですが、なんとかリーグ戦をベストの状態で戦わせたい。だからナビスコの2試合はリザーブチームでやりたいと考えるのは当然のことです。 リザーブチームを出すことは、彼らのプレーを実戦で見るチャンスでもあり、選手たちにとってもアピールする絶好のチャンスとなります。 南米では、重要な試合のために主力を温存し、リザーブチームを出すのはよくあることです。85年にリベルタドーレス杯の決勝を取材に行ったとき、出場チームのリバープレートは前週日曜のリーグ戦には完全なリザーブチームを出していました。アルゼンチン人で、しかもリバープレートに在籍していたピッコリがこのようなアイデアをもつのは当然のことだったでしょう。 ■試合日程の不公平さがもたらすコンディションの差 もうひとつ忘れてならない要素は、日程の不公平です。アウェーのベルマーレ戦の3日後にJリーグで対戦する柏レイソルは、ナビスコ杯の1回戦をシードされており、12日には試合がありませんでした。8日から15日まで1週間まるまる調整にあてることができたのです。 9日に磐田から福岡に戻り、11日には平塚に移動し、福岡に戻るのは13日木曜日。もしアビスパが「ベストチーム」でベルマーレ戦を戦っていれば、15日のレイソルとのコンディション差は大きなものになっていたはずです。 22日の相手であるガンバ大阪も、4月12日に予定されていたコンサドーレ札幌とのアウェーゲームが有珠山の噴火で延期になり、試合をしていません。(そのおかげか、ガンバは15日に国立でFC東京を破り、今季初勝利を記録しました)。 このような不公平な日程のなかでアビスパの選手たちのコンディションを守り、重要なリーグ戦で悔いの残らない試合をさせるには、「リザーブチームでやるしかない」というのが、ピッコリ監督の判断だったのでしょう。 これらの理由は、それぞれに納得のいく点があります。Jリーグは、制裁金額の決定にあたって、これらを勘案しなければならないでしょう。 しかし公式戦にリザーブチームを出すような事態は、今後一切あってはなりません。そのためにも、Jリーグは今回、断固とした制裁を下す必要があると思うのです。 ※本文中のアビスパ福岡の監督名を、掲載当初に「ホルヘ・ピッコリ」と表記したの は誤りで、正しくは「ネストール・オマール・ピッコリ」でした。現在のバックナン バー掲載文では訂正しました。ご本人と関係者にご迷惑をおかけしましたことをお詫 びいたします。 |
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